ごあいさつ

14回島熊山能面祭にご応募いただきありがとうございました。
1月に募集要項を発表した矢先、新型コロナの感染が拡大し、ステーホームから緊急事態宣言まで深刻な事態が進みパンデミックに襲われるまでに至りました。島熊山能面祭の中止も検討しましたが、何とか緊急事態宣言が解除され、審査員の先生方の協力も得られることになり、開催に踏み切ることが出来ました。
しかし、新型コロナの終息の目途がつかず、予断を許さない状況です。推移を見守りながら、新しい生活様式に沿って感染予防策を講じて、能面展示会や能楽師との交流会、島熊山薪能を開催します、何かとご不便をおかけしますが、ご参加、ご協力よろしくお願いします。
今回の能面祭は新型コロナの影響か、応募数が102面となりました。
内訳は、島熊山薪能の「巻絹」で使用される、十寸髪(増髪)が16面、増女が9面の計25面と多く、その他小面や孫次郎など女面25面、平太や邯鄲男など男面24面、小癋見など鬼神面21、尉面など2面、狂言面5面でした。中には、創作面が5面、修正再応募面4面が含まれていました。
今後も応募された優秀な能面を舞台で使用いただく機会を増やす努力を行います。
現在、能楽の開催の延期や中止が続いています、このままでは能楽そのものが危機にたたされると言っても過言ではありません。能楽があっての能面です、私たち面打ちが様々な形で支援する時だと思います、ご協力よろしくお願いします。
大変な状況下で島熊山能面祭に快くご協力いただいた能楽師シテ方梅若実先生・大槻文藏先生・山本博通先生・赤松禎友先生・山崎正道先生・武富康之先生・大槻裕一先生・狂言方小笠原匡先生には厚くお礼申し上げます。
今回も豊中市より「豊中市文化芸術助成金」の交付を受けることが出来ました、今後も豊中市での文化芸術活動を進めるとともに全国に能楽・能面を発信する活動を強めます。豊中市にお礼申し上げます。なお、コメント及び審査員総評は審査員会における審査員の意見や感想を事務局がまとめたものです、質問等は事務局までお問い合わせください。

島熊山能面祭実行委員会

受付
番号
作品名 応募作者 出身地
31 邯鄲男
川井郁司 兵庫県
43 孫次郎 原田ちよこ 愛知県
 44 利修 創作面 原田ちよこ  愛知県 
79 十寸髪 住村 太 福岡県
80 邯鄲男
住村 太 福岡県

(全応募作品 102面)

審査員総評
審査結果!
交流会の
ご案内

図録
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
豊中市長賞 56
景清 関東秀康 大阪府
審査員特別賞
3 一角仙人
松尾茂樹 大阪府

第14回島熊山能面祭募集要項
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推薦部門


審査結果
第14回島熊山能面祭
受付
番号
作品名 応募作者 出身地 受付
番号
作品名 応募作者 出身地
6 増髪 海老原 彰 鹿児島県 67 髭景清 日高正雄 滋賀県
12 俊寛 笹本 榮 兵庫県 68 増髪 藤田仁美 京都府
14
赤平太 眞野恵子 福岡県 70 小面 創作面 田中徳平 福岡県
16
生成 亀川弘道 兵庫県 73 大賀信義 広島県
17 真蛇 亀川弘道
兵庫県 78 増髪 大野明子 愛知県
22
十寸髪 田中成治 愛知県 85 孫次郎 吉川永司 神奈川県
26
若女 鈴木純一 神奈川県 86 俊寛 小嶋 正 滋賀県
34 万媚 松本洋一 兵庫県 87 赤平太 田川聞悟 大阪府
35 若女 松本洋一 兵庫県 90 黒髭 里田敏一 滋賀県
36 増髪 白井充夫 埼玉県 91 大癋見 山縣 徹 大阪府
46 孫次郎 岩武忠典 大分県 92 増女 山縣 徹 大阪府
47 蝉丸 岩武忠典 大分県 93 武悪 狂言面 山縣 徹 大阪府
50 十六中将 藤井欣也 滋賀県 96 十寸髪 出口 久 長崎県
55 麻生良一 福岡県 98 小癋見 上田一雄 京都府
58 老女小町 大久保和男 長野県 100 増女(一) 伊庭貞一 滋賀県
60 三光尉 岩崎拓治 兵庫県 101 増女(二) 伊庭貞一 滋賀県
61 浅野俊樹 愛知県
65 十寸髪 栗原冨美子 茨城県
島熊山能面祭 TOP
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
奨励賞
(9面)
2 小癋見
松尾芳樹 大阪府
8 泥眼 (二) 海老原 彰 鹿児島県
27 十六中将 伊藤幸男 千葉県
29 龍女
川上堯由 愛知県
33 泥黒髭 中村義人 岐阜県
63  大顰   菅原望元 滋賀県 
89 鼻瘤悪尉 吉村和佐子 大阪府
97 増女 出口 久 長崎県
99 増女 宮﨑美幸 京都府
東京能面展

審査員

審査基準に基づく厳正な審査の結果、今回は大賞(梅若実賞・大槻文藏賞)に該当する作品がなく、特別賞(豊中市長賞・審査員特別賞)2面、優秀賞2面、奨励賞9面の計13面が入賞されました。受賞された皆様おめでとうございます。
1次審査推薦作品は38面でした。昨年の入賞作品が27面でしたので半数に減ったことになります。しかし、今回のレベルが落ちたのではなく、むしろ全体のレベルは上がっています。第1次審査推薦作品にも良い作品がたくさんあり、奨励賞とは僅差で十分努力賞とか入選などに該当する作品で「舞台で使えないことはない」レベルにまで達しています。技術的には向上し、ほんの少しの改善で十分舞台で使える作品になるでしょう。
残念ながら今回は大賞(梅若実賞・大槻文藏賞)の該当がありませんでした。審査基準は「舞台で使えるか」ですが、大賞は「能楽師が使いたくなるか」「後世に残る名作に近づいているか」など高いレベルで判断します、そのレベルにはまだ到達していないのです。単に作品を比較して賞を多く出すのでなく、審査基準に照らして厳正に判断した結果であり、皆様にもっと努力してほしい、必ず出来るというメッセージでもあります。
今回は過去数々の賞を受けられた方々に抜きんでた作品が少なかったのは残念です。
各作品の講評も良い作品を期待して、厳しいものになっています。決して悪いという意味ではありません。良いところはあえて触れてない作品評もあります。
今回は「巻絹」を想定して十寸髪(増髪)が多く寄せられましたが、狂気が前面にでた面が多くありました。十寸髪は女神の面で、増女より活動的で、舞い狂う恍惚感に浸る高貴な若い女性で品が必要です。単に狂気になってはだめです、どの面を打つ場合も何を表現するかはっきりと意識して打っていただきたい。写真を見て如何に似せるかと模写した作品も多い、写そう写そうとする気持ちが模写になって個性を無くしています。主人公がどのような気持ちで能を舞うのかを考えないと良い作品はできません。今回創作面がいくつか出品されましたが、囚われずのびのび打たれた作品も見られました。特に名品を見てしまうと模写に走る傾向があります。
修正した再応募面がいくつかありました、いずれも修正により良くなっており、入賞された作品もありました。今後もぜひ手直しをして良い作品を目指していただきたいと思います。
今回の審査は大槻能楽堂の舞台をお借りして、舞台照明のもとで鏡板を背景に実際の演能環境で行うことで、幽玄や品、作品の出来を正確に見ることができたと思っています。
最後に、コロナ感染拡大による自粛が求められ、能楽が開催できない状況が続いています。終息が見通せない中で、能楽にとって非常に厳しい時期ですし、能を見る機会も少なくなっています、今こそ新しい環境での伝統芸能を守り普及する活動が求められています。皆さんも良い面を打っていただき一翼を担っていただければ幸いです。良い作品を期待しています。

                                                        (文責・事務局)

観世流能楽師 シテ方          和泉流能楽師 狂言方

梅若  実 先生   大槻 文藏先生   小笠原 匡先生
山本 博通先生   赤松 禎友先生
山崎 正道先生   武富 康之先生

大槻 裕一先生
特別賞

(敬称略)

審査員総評

一次審査推薦作品

受付
番号
作品名 応募作者 出身地
優秀賞
(2面)
4 逆髪
後藤浩二 大分県
7 泥眼 (一)
海老原 彰 鹿児島県