ごあいさつ

 15回島熊山能面祭にご応募いただきありがとうございました。
「能面コンクール」としては最後の能面祭の開催であり、15年間の集大成として、「名作の出現」と「舞台で使える能面」をめざす新作能面を募集しました。結果、全国3名の方々から昨年より46面多い148面の応募をいただきました。内容的も最終回にふさわしく「舞台で使える」優秀な能面が数多く、梅若実玄祥賞、大槻文藏賞も復活し、豊中市長賞、審査員特別賞2面、優秀賞12面、奨励賞11面、さらに努力賞として10面が選ばれました。なお、第一次審査推薦作品は18面でした。
15年間の島熊山能面祭は、能楽師の適切なアドバイスと皆様の努力で、作品レベルは向上し、優秀な能面が次々発掘、舞台で使用されるなど能面制作、能楽の発展に大きな役割を果たしてきました。
「能」で使用される伝統的工芸品・能面は現存する古面だけではまだまだ不足です、今使用する面、将来使用する新作能面は常に求められています。この求めに応えられるのは、島熊山能面祭に応募された面打ちの皆さんであり、大きな期待も寄せられています。
皆様には「令和の名作」を目指しさらなる努力をお願いします。これまでの島熊山能面祭へのご協力に感謝とお礼を申し上げます。今後もすばらしい能面を制作されることを祈願します。
長年にわたり島熊山能面祭にご協力いただいた能楽師シテ方梅若実玄祥先生・大槻文藏先生・山本博通先生・赤松禎友先生・山崎正道先生・武富康之先生・大槻裕一先生・狂言方小笠原由祠先生には心よりお礼申し上げます。
今回も「豊中市文化芸術振興助成金」の交付を受けることが出来ました、豊中市にお礼申し上げます
島熊山能面祭実行委員会は今後も能と能面の発展と能面作家を支援する新たな努力を続けたいと思います。ご支援ありがとうございました。
なお、今回の図録には歴代の大賞・特別賞受賞作品の写真も掲載しました、
図録のコメント及び審査員総評は審査における審査員の意見や感想を事務局がまとめたものです、コメント等に対する質問は事務局までお問い合わせください。

  島熊山能面祭実行委員会

受付
番号
作品名 応募作者 出身地
優秀賞
(12面)
    
1 一角仙人
山本悦郎 三重県
38  小面(月) 亀川博道   兵庫県
51 毘沙門(狂言面) 桂 利夫 京都府
55  万媚  田中徳平 福岡県 
57   小面 荒牧玲子  福岡県 
69   大癋見  福田俊文 茨城県 
 82  小獅子  眞野恵子  福岡県
83  増女  原田ちよ子   愛知県
 106 尼(狂言面)  吉村和佐子  大阪府 
107   逆髪  海老原 彰 鹿児島
 129 石王尉  田川聞悟  大阪府 
146  逆髪  伊庭貞一  滋賀県 
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
奨励賞
(11面)      
3 乙(狂言面) 松尾芳樹 大阪府
40 黒般若 亀川博道 兵庫県
52 逆髪 麻生りりこ 神奈川県
54 若女 麻生りりこ 神奈川県
100 小面 石田 浩 静岡県
103 逆髪 山縣 徹 大阪府
121 乙(狂言面) 井上欣一 長野県
125 孫次郎 渡邉 清 大阪府
126 鼻瘤悪尉 渡邉 清 大阪府
142 小面
片野明子  福岡県 
 147  泥眼 海老原 彰  鹿児島県 
観世流能楽師 シテ方          和泉流能楽師 狂言方

梅若実玄祥先生  大槻 文藏先生   小笠原 由祠先生
山本 博通先生   赤松 禎友先生
山崎 正道先生   武富 康之先生
大槻祐一先生
大  賞

受付
番号
作品名 応募作者 出身地
梅若実玄祥賞 104 小飛出
住村  太 福岡県
大槻文蔵賞 58
十六
荒牧玲子 福岡県
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審査員

審査員総評

今回は審査員が「今年は良い」と口をそろえるほどレベルの高い作品が集まりました。
審査基準に基づき厳正な審査の結果、大賞(梅若実玄祥賞、大槻文藏賞)、特別賞、優秀賞、奨励賞に28面と、選外には惜しい作品が多く新たに「努力賞」を設け10面選び、合計38面を入賞作品としました。受賞された皆様おめでとうございます。
「使う曲や場面を想定した」と思いを申込書に書かれた作品や手直し再応募の作品も増え、皆様の熱意・意気込みも伝わってきました。
「舞台で使える」レベルに上がった作品が多いことは喜んでいるのですが、審査員が期待する「使ってみたい」レベルにはあと一息です。各作品のコメントを参照ください。
能面は舞台で観客に感動を与える能の道具です、舞台でその役の力や動きについてゆく表情が求められます。写真や図録を見て模写をする技術力は高いのですが、役の気持ちや表情を出すことが弱い。模写が悪いのではなく打つ方の気持ちをもっと込めてほしい。能を観て感じ、その気持ちを打ち込むことが大切です。能を観て感じてください。
能面は100の表情を持っています、その表情が集まって「能面は無表情」と言われるのでしょう。面は表情が出なければだめですが、出過ぎてもだめです。一つの方向からでなく色々な角度から見て曲にあった表情が出るように研究してください。
あと一息の壁を突破するには、皆さんが「能楽師に舞台で使わせるぞ、サーどうだ」という気迫をもって打つことも大事です。単に趣味だと思って打っていると良い面はできません。能楽師は古面ばかりを使うわけでなく、いつも良い新作面があれば様々な機会に使いたいと思っています。能面は舞台で使われるのを待っています。自分の能面が舞台で使われると良し悪しもよく判ります、いろいろな機会に舞台で使ってもらってください、作品は大きく変わると思います。/
裏面の彫も同じです、能楽師が使うことを考えて、当り、重さ、顎、前の見え具合、紐穴の位置などに注意を払ってください。裏面が悪いと舞台では使えません
最後に、審査委員会として、かなり厳しく選び講評してきました。褒め言葉がないとの声もありましたが、あえて遠慮なく指摘しました。能面の良し悪しは能楽師の好みもありますし、どう見るか人により異なります、しかし、共通して、曲が感じられ、目に見えない力や透明感とか印象、表情の変化、品や美しさなど舞台で必要なものを求め評価してきました。
今回が最後の審査会になりました、毎年レベルアップを期待し能面を審査するのは楽しみでした、皆様の能面に対する思いの強さも頼もしく感じていました。いくつかの面は舞台で使わせていただきました。これからも、令和の名作を目指し、優秀な能面を打っていたたくことを願っています。能楽の発展と能面技術の伝承に寄与されている皆様に感謝します。
今後も皆様の新作面を拝見できる機会があることを願っています。
頑張ってください。

島熊山能面祭審査委員会
(文責・実行委員会事務局)


入選作品
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
豊中市長賞 94 宝増
白井充夫 埼玉県
審査員特別賞   18 長霊癋見
川井郁司 兵庫県
75  白般若  関東秀康  大阪府 
受付
番号
作品名 応募作者 出身地
努力賞
(10面)      
37 孫次郎 森 隆城 奈良県
53 麻生りりこ 神奈川県
72 赤般若 南波寿好 神奈川県
76 小姫 岩武忠典 大分県
81 若女(白菊) 眞野恵子 福岡県
84 小面 原田ちよ子 愛知県
99 増女 石田 浩 静岡県
133 長霊癋見 辻本和仁 大阪府
 137 大癋見
住村 太   福岡県
144 増女
伊庭貞一  滋賀県 
特別賞